2004年4月〜5月のレビュー

(タイトルの部分をアルバムは シングルはで表記してます)
鈴木雅之トリビュート 「Suzuki MANIA」
小田和正・ゴスペラーズ・Skoop On Somebod
y等が、参加したトリビュートアルバム。鈴木雅之本人も言っ
ていたけど、いわゆるシンガーのトリビュートアルバムは、あ
んまりないような気がします。個人的には、山弦の透明感あふ
れるアコースティックギターの音色に乗せて、小田和正が歌う
「Guilty」ヒップホップに変貌したMiss Mond
ay「Dry Dry」艶ぽい歌声が、とても魅力的なSko
op On Somebody「FIRST LOVE」アカ
ペラグループAJIの「別れの街」そして、この曲に関しては、
鈴木雅之本人が、それとなく歌って欲しい。と、言った佐藤竹
善と塩谷哲のユニット、SALT&SUGAR「恋人」が良か
ったと思います。以外に良かったのは、アブラーズの「め組の
人」アブラーズ、というバンドは、元チェッカーズのバンド隊
のメンバー4人のバンドらしいですが、あんまり期待していな
かっただけに、この出来の良さには、とてもびっくりしてしま
いました。PUFFYとCrystal Kayが参加した曲
は、曲数を揃えるための様な気がしたけど、(両方とも、悪く
はないけど、このトリビュートアルバムのために歌ってはいな
いので)とても、愛に溢れたトリビュートアルバムになっています。
ううあ 「うたううあ」
UAが、NHK教育TVの「ドレミノテレビ」と、いう小学校低
学年向けの音楽番組で、歌った曲+オリジナル曲を収録した童謡
アルバム。最初、UAが教育TVで、歌のお姉さんをするという
のを知った時、かなりの衝撃を受けたんですが・・・。そういう
事、まったくしそうな感じがしなかったので。はっきり言ってU
Aの歌い方が、いわゆる見本になっているとは、言いがたいです
が、歌を歌う楽しさみたいなものは、伝わっていると思います。
10年後ぐらいに、デビューしたアーティストが、教育TVで歌
っているUAの歌声を聞いて、歌を歌う楽しさに目覚めた。とい
うインタビューや音楽雑誌の記事が、出て来て欲しいです。  
m−flo loves BoA 「the love bug」
m−floのlovesシリーズ第3弾。LISA脱退後、いろ
んなアーティストと、コラボをする形式を採っています。どっち
かといえば、m−floのフォーマットを使って、lovesし
たアーティストの違う側面、新たな一面、魅力を伝えているよう
な気がするけど・・・。今回lovesしたのはBoA。BoA
名義では、見せる事がないキュートさが伝わって来る内容になっ
ています。て、いうより、BoA名義でリリースするよりも、い
わゆる客演した方が、BoAの魅力、良さが伝わってくるという、
ある意味逆転現象が起きている訳で・・・。ちなみにフライヤー
に乗っているTAKUの記事を読むと、これまたBoAをゲスト
ボーカルに迎えた、Mondo Grosso「Everyth
ing Needs Love」を意識して作ったと。m−fl
oにとっても、今までのlovesシリーズの中で1番良い出来
だったし、BoAにとっても、違う魅力を引き出されたので、と
ても素晴らしい形で、相乗効果になったんではないでしょうか?
ただ、BoAにとっては、いわゆるBoA名義で、客演で引き出
された魅力を、どれだけフィードバックさせるかが、今後の課題
になりそうな気がするんですが・・・?           
尾崎豊トリビュート 「BLUE〜A TRIBUTE     
              TO YUTAKA OZAKI」
元来、トリビュートアルバムというものは、好きな、尊敬する、
影響を受けたアーティストに対して、そのアーティストの曲を、
自分なりの解釈、愛情で、カバーするらしいんですが・・・。1
言で言うならば、いろんなアーティストが、ある1人のアーティ
ストに対して、愛情表現するのが、トリビュートアルバムらしい
です。どうして、こんな訳分からん事を言っているのか、という
と、このトリビュートアルバムは、いわゆる、さっき説明したよ
うな形でのトリビュートアルバムではなく、生前、尾崎豊のプロ
デューサーをしていた、須藤晃氏が、「尾崎豊の精神性みたいな
物を持っている人にカバーしてほしい」というコンセプトの元に
作られたトリビュートアルバムだからです。(ちなみに、この尾
崎豊トリビュートアルバム、BLUE盤とGREEN盤があって、
BLUE盤はメジャーアーティスト、GREEN盤は、オーディ
ションをして選ばれたインディーズアーティストがカバーしてい
るみたいです)ちなみに、このトリビュートアルバム、宇多田ヒ
カル、ミスチルが参加。そして、Coccoが活動休止後初音源
というのが、キャッチコピーみたいですが・・・。個人的に1番
好きなのは、橘いずみ「路上のルール」かつて、橘いずみは”女
尾崎”と呼ばれていて、その当時を彷佛とさせるような、反骨心
あふれる歌声。と、いうより、まだこういう歌声で歌える事に、
びっくりしてしまいました。2年前にリリースされた、ミニアル
バム3部作を聞いたかぎりでは、もう、こんな歌声では歌わない
し、歌う気にもならないんだろうな?と思っていたので。1番良
かったと思ったのが、宇多田ヒカル「I LOVE YOU」た
またま見た、千葉マリンスタジアムでのライブビデオ、その時、
鳥肌立つくらい良かったのを覚えています「I LOVE YO
U」は、その時の音源を収録しています。(この1曲のために買
おうと思ったけど、レーベルゲートCDだったので断念・・・。)
ある意味、別格です。1番愛情を感じたのが、岡村靖幸「太陽の
破片」生前、親友だったそうで・・・。曲の方は、段々、後半の
方になるにつれ、岡村節に変貌していっている所が凄いです。こ
のトリビュートアルバムの中で、表現はおかしいかもしれないけ
ど、1番面白かったのは、175R「17歳の地図」そして、斉
藤和義「闇の告白」でした。私は、尾崎豊の曲を、ほとんど知ら
ない人間なんですが、(知っているのは、”I LOVE YO
U””卒業””15の夜”ぐらい・・・)それでも、尾崎豊のイ
メージというと、矛盾している大人、学校、世間、社会に対して、
歌詞という名の刃を振り回している。と、いうイメージがあった
んですが、「闇の告白」は、いわゆる外に向けられていた刃が、
自分に向けているような感じがしました。まるで自問自答しなが
ら、リストカットしているかのような・・・。今まで持っていた、
尾崎豊のイメージをくつがえすような曲でした。そして、175
R「17歳の地図」熱烈な尾崎豊ファンになればなるほど、この
トリビュートアルバムの中でどれが肌に合わなかったか?と質問
されたら、この「17歳の地図」を挙げそうな気がするんですが・・・。
私も最初聞いた時は、かなりの衝撃が走ってしまいました。まさ
か、尾崎豊の曲がここまで、コテコテの、ど真ん中スカコアチュー
ンに大変貌してしまうとは・・・。もし、この曲をスタンディン
グ形式のライブでやったら、モッシュ&ダイブの嵐が起きそうな、
キラーチューン&パーティーチューンになりそうです。賛否両論
あるかもしれないけど、自分達のスタイルに、上手く尾崎豊の曲
を消化しているんじゃないでしょうか。このトリビュートアルバ
ムに収録されている曲の中で、1番、原曲を聞きたいと思いました。
大塚愛 「LOVE PUNCH」
大塚愛の待望の1stアルバム。今まで、5年くらいの間、いわ
ゆる女性R&B=DIVAを好んで聞いていたんだけど、「さく
らんぼ」を聞いて、再び、いわゆる”GIRLPOP”と、いう
物に、心奪われてしまいました。90年代半ば当たりに、雑誌「
GiRLPOP」が中心となって、ムーブメントみたいな物を作
っていたみたいですが。(今でも、GiRLPOPは発行してい
ます)10年前なら、確実に表紙を飾っていたような気がします。
アルバムの感想は、やっぱりGIRLPOPだったと思いました。
「pretty voice」のような、スカテイストの曲。「
雨の中のメロディー」のようなバラード。「片思いダイヤル」の
ようなポップな曲と、バラエティー豊かなんですけど・・・。個
人的には「石川大阪友好条約」の、はちゃめちゃ具合が好きなん
ですが。今まで聞いたGIRLPOP系アーティストにはない点
といえば、大塚愛自身も、編曲に関わっている事でしょうか?結
果的にGIRLPOPになってしまったんではなく、狙ってGI
RLPOP的な事をやっているような気がします。とても無邪気
な感じなんだけど、物凄い毒気も、隠し持っているような気が、
私はこのアルバムから感じました。             
レミオロメン 「アカシア」
前作「3月9日」に続いて、シンプルなロックナンバー。素朴で
力強い歌詞。きれいなメロディー。聞けば聞く程、味が出てくる
というか・・・。中毒性がめちゃめちゃ高いです!!個人的に、
レミオロメン、この曲でデビューしたら、もう少し見方が違って
いたかもしれない。この路線を維持していって欲しいです。  
Crystal Kay 「Motherland」
この曲、「Girl’s Night」以前の、もしくは1st
アルバム「C.L.L」に収録されていそうな感じの曲のように
感じました。久しぶりに歌い上げるような感じのバラードなんじ
ゃないんでしょうか?4thアルバム「4REAL」が、良くも
悪くも、歌声に安定感が出ちゃっている感じがしたので、まだこ
んな感じの曲をリリースした事に驚いてしまったんですが。聞け
ば聞く程、味が出て来る感じがとても良いです。ただ、この曲を
聞いて、これからCrystal Kayはどこに行くのだろう
?と、いうのも感じてしまったんですけど・・・。ここ最近のシ
ングル、アルバムについてのインタビューで、分かりやすさ、ポ
ップさを意識しているような発言をしているけど、個人的には、
もっと尖った感じの事をやっていった方がいいのに・・・。と、
思ったのですが。大多数に聞いてもらう事も大切だけど、分かり
やすさを追求して、受け入れやすい曲ばかりやっていったら、気
がついたら飽きられてしまうような気がします。       
REBEL FAMILIA 「SOLIDARITY」
元DRY&HEVEYのベース、秋元”HEAVY”武士の新ユ
ニット。個人的にDUBは、後期のNUMBER GIRLの楽
曲、あとACO「Material」を聞いて興味を持った感じ
なんですが。サウンドが、揺れている所とか、残響音がとても残
る所が物凄く好きです。DRY&HEVEYの名前は、もちろん
知っていましたが・・・。(DUB=DRY&HEVEYみたい
な事が雑誌で載っていた記憶が?)このアルバムは、セッション
アルバムみたいな事になっていて、THA BLUE HERB
のBOSS THE MC・SHINGO2等が参加しています。
聞いた感想は、もっと脳が揺らされるかのようなサウンドを期待
していたので、オルタナティブロックのようなノイズまじりとい
うか、歪んだサウンドになっていたのには、驚きでした。オルタ
ナ好きな私には、嬉しい誤算といった感じなんですが。個人的に
好きなのは、「FLAVOR FOR YOUR EARS」D
UBのベースラインに、ダンスホールレゲェーのリズムが乗った
曲なんだけど、はっきり言って、こんな毛色が違う物を1つにし
てしまった事が凄いと思いました。全体的にとても尖った作品に
なっているけれど、ポップな感じで聞きやすいアルバムだと思います。
wyolica 「Best Collegtion      
        1999−2004 −ALL THE 
               THINGS YOU ARE−
どこかのCDショップで、”地味に活動して5年、ようやくベス
ト盤発売!!”みたいな紹介文が書いてあったような?そういえ
ばwyolicaって、もうデビュー5年なんだ!!と、驚いて
しまいました。確かwyolicaがデビューした当時の音楽シ
ーンは、女性R&B=DIVAを中心に盛り上がっていた記憶が
あります。そして5年たった今、そのDIVAブームが過ぎて生
き残ったのは、wyolica以外に、ACO・DOUBLE・
Crysttal Kay・birdぐらいまでかな?(他にも
いるかもしれないが・・・。)Sugar Soul・Tina
・嶋野百恵・傳田真央とかは、もう音楽活動はやめてしまったん
でしょうか?好きだっただけに・・・。このベストアルバム、今
まで感じてきた事なんだけど、azumiの歌に対する感情の込
め方が変わっているように感じました。キャッチーでキュートな
歌い方→切ない歌い方→優しく柔らかい歌い方と。アルバム単位
で聞いてみたら分かると思います。あとこれは、ベストアルバム
を一通り聞いて、初めて気がついた事なんだけど、サウンドの温
度感が、デビュー曲の「悲しいわがまま」から最新曲の「スパー
クル」まで、ほとんど変わっていないのにはびっくりしてしまい
ました。だから紹介文には、こういう事が書かれていたのかな?
と思いましたけど。ただ、個人的には、「愛をうたえ」を収録し
て欲しかった!!このベストアルバムのトータルコンエプトを考
えたら、明らかに浮いてしまう曲だけど、初めてwyolica
を聞く人達に対して、聞いた事はないんだけれど、どういう感じ
の音楽をやっているかぐらいの知識を持っている人達に対して、
wyolicaは、こういう曲もやっているんだよ!!と、教え
てあげるのも、ベストアルバムの1つの使命のような気がします。
ただ単に、好きな曲が入っていないから、愚痴っていると言われ
れば、それまでですが・・・。