2004年9月〜10月のレビュー

(タイトルの部分をアルバムは シングルはで表記してます)
東京事変 「教育」
椎名林檎が新たに結成したバンド、東京事変。バンドメンバー
に、椎名林檎のプロデューサーで、椎名林檎自身、師匠と呼ん
でいる、亀田誠治、PE’Zのキーボードをやっているヒイズ
ミマサユ機が参加しています。聞いた感想は、久しぶりに弾け
た感じの椎名林檎を堪能できた気がします。こんな感じの椎名
林檎を聞いたのは、「無罪モラトリアム」以来の様な?個人的
に気にいっている曲は、パンクとジャズを上手く融合させた「
サービス」東京事変のデビュー曲でもある「群青日和」初期の
椎名林檎を彷佛とさせる感じの「母国情緒」バンド自体が、物
凄く生き生きしている感じがするし、これが、椎名林檎がバン
ドで表現したかった事なのかな?と。全体的に、とてもパンキ
ッシュな感じがするんですが・・・。これは、私の思い違いか
もしれないけど、パンキッシュな割りには、サウンドが枠から、
はみ出ていないような?(演奏レベルは、高いと思うんですが)
これだったら、ストリングスサウンドで、オルタナティブな事
をやってのけた「加爾基 精液 栗ノ花」の方が、枠から、は
み出ている様な気がするんですが?もう一つ、思った事は、こ
の初期衝動をいつまで維持できるのか?アルバムを3枚出した
後、椎名林檎名義で、コンセプトアルバムみたいなのを出すか、
もしくは、ソロアーティストに戻ってしまう様な気がしてしま
いました。そんな、邪推をしてしまうほど、1stアルバムと
しては、めちゃめちゃ高いクオリティーになっていると思います。
加藤ミリヤ「Beautiful」
ちまたでは、ポスト宇多田ヒカルと言われているみたいで。こ
れが2枚目のシングル。「Beautiful」の方は、思春
期特有の感情、葛藤を描いている様に感じました。個人的に気
になったのは、c/wの「AT THE FEVER」の方で
した。この曲は、DEV LARGEプロデュースらしく、そ
して、featuringとして、TWIGY、NIPPS、
DEV LARGE、Shinnosu8が参加。 ライブで、
「ドープな事をしてしまった」と言っていたので、期待してい
た訳なんですが。この曲を聞いて、1番最初に思った、率直な
感想を言うと、”この曲は、HIPHOP系のコンピレーショ
ンアルバムに収録される予定で作られたの?それとも、収録さ
れる事が決定なの?”と、思ってしまいました。どうして、そ
んな事を思ってしまったのかというと、一言で言えば、加藤ミ
リヤを含めた5MCで、マイクリレーをやっていってるんだけ
ど、フックの部分、(歌で言えば、サビの所)ミリヤ歌ってい
ないじゃないか!!歌っているのは、TWIGYとDEV L
ARGEかな?びっくりしました。まさか、自分名義の曲で、
大切な所をやっていないとは・・・。ドープすぎる。そして、
ミリヤのラップは、リリックの方は、”私は、誰かの操り人形
にはならない。自分の事は、自分の意志で決める”みたいな事
を言っていると思います。ラップスタイルは、ハードコアヒッ
プホップに憧れている感じ。良く言えば、これからに期待。悪
く言えば、未熟というより、形だけって感じなんですが、やっ
ている事は、非常に面白いと思いました。多分、主なターゲッ
トは、同年代の女の子(14歳〜17歳あたりかな?)なんだ
ろうけど、そんな所に、あんな曲を収録しているのが、凄いと
思ったし、非常に面白いなと。カップリングに、ここまで夢中
になったのは、SADS以来でした。           
Crystal Kay 「Bye My Darling」
このまま、R&B路線を歩んでいくもんだと思っていたら、前
作「Mother land」に続いて、「Girl’s N
ight」以前のCrystal Kayな感じの曲になって
いるような気がします。ビジュアルも、初期の頃を彷佛とさせ
る様な感じだし。この曲は、イントロから、ギターが鳴り響い
て、えらいロックテイスト。曲の中盤では、ラップをやってい
るんだけど、クールな感じでとてもかっこいい!!それ以上に
驚いた事は、歌声が今までと違って、とても安定感がある所。
夏に、ボイス&ダンストレーニングをしに、アメリカに渡った
らしいけれど、その成果が現れているんじゃないでしょうか?
不安定感漂う歌声も、それは、それで魅力的なんですが。  
信近エリ「lights」
この曲で、デビューしたみたいなんですが、この人(曲)の大
きなセールスポイントというんでしょうか?プロデューサーが、
大沢伸一。大沢伸一がプロデュースするのは、bird、wy
olica以来じゃないでしょうか?(中島美嘉に楽曲提供を
したみたいですが)歌声の方は、あっさりしてPOPな感じの
UA。という感じがしました。あと、これは、大沢伸一に対し
て思った事なんだけど、久しぶりのプロデュースワークだった
からなのか、サウンドが、Mondo Grosso色がちょ
っと強いかな?と思ってしまいました。(サビの部分)しばら
くは、大沢伸一が、このままプロデュースを続けると思うので、
(多分)今後に期待したいと思います。          
三上ちさこ 「わたしはあなたの宇宙」
fra−foaの三上ちさこが、ソロデビュー。妊娠、出産の
ため、しばらくバンド活動を休止していたみたいで。fra−
foaとして、活動を再開するものだと思っていたら・・・。
fra−foaと、差別化するためなのか、打ち込みを導入。
出産して、世界観が変わったのか、歌い方が、情念を叩き付け
る様な感じから、とても神々しい感じの歌声になっています。
fra−foaを彷佛とさせる様な、「咲かない花」という曲
もあるけれど。個人的に気にいっている曲は、ダークなサウン
ドと、神々しい歌声が上手くマッチした、「バカで結構」テク
ノサウンドで、歌詞が空耳アワーテイストな「VIVA LA
 REVOLISION」このアルバム、これはこれで、バン
ドサウンドから、自由になっていると思うけれど、「VIVA
 LA REVOLISION」みたいな、針をもっと振り切
った感じの曲を、あと2、3曲ぐらい欲しかった。ソロ第1作
なので、試行錯誤した点もあるかもしれないけど。     
大塚愛 「LOVE JAM」
わずか8ヶ月で、もう2ndアルバム。その8ヶ月の間で、い
わゆる”ブレイクアーティスト”から、”トップミュージシャ
ン”への階段を昇っていった訳なんですが。このアルバムは、
いろんなタイプの曲が収録されているけど、聞き終わった後、
GIRLPOPを聞いたな〜。と思ってしまうアルバムになっ
ていると思います。正統派ロックンロールな感じの「スーパー
スター」彼への熱い思いと、焼かれる肉が、食べられる人に対
して、こんな風に食べられたいという願望を、上手くダブルミ
ーリングにした形の「黒毛和牛上塩タン735円」スタンディ
ング形式のライブで演奏したら、確実にダイバー続出な感じの
「ポンポン」テクノに挑戦した感じの「妄想チョップ」可愛ら
しい乙女心を描いたというか、これぞ、GIRLPOP!!と
いう感じの「Strawberry Jam」「ふたつ星記念
日」ちょっと残念だったのが、おそらく大塚愛のルーツの一つ
であろう、スカ(スカコア)テイストの曲が、「Happy 
Days」しかなかった事。もうちょっと、そっち系の曲があ
ってもいいかな?と思ったんですけど・・・。       
朝日美穂 「ホリアテロリズム」
アルバムとしては、5年ぶりかな?ミニアルバム「HORID
AY」からだと、約3年ぶりくらいなんだけど。前作「スリル
マーチ」リリース後、メジャー契約が終了。インディーになっ
て、1番最初に手掛けたのは、岡村靖幸トリビュートアルバム
製作。一説によれば、このトリビュートアルバムが、岡村靖幸
復活の貢献をした。と、音楽雑誌(ミュージックマガジン)に
も書かれていた記憶が。感想は、えらい聞きやすくなった気が
します。メジャー在籍時のアルバムを聞いた時、1番最初に感
じた事は、”えらいシュールだな”だったんですけど。シュー
ルさがなくなった分、小悪魔チックさが、出ている気がします。
変わっていない部分と言えば、相変わらずの雑食さというんで
しょうか?DUBまであったのには、びっくりしたんですが。
それ以上に驚いたのが、アルバムの最後に収録されている「意
地悪」ストレートなポップソングという所にもびっくりなんで
すが、こんな美メロを書ける人だったとは知りませんでした・・・。
L.L BROTHERS 「BACK AGAIN」
かつて、「天才・たけしの元気がでるTV!!」の1コーナー
「ダンス甲子園」で、一世を風靡したL.L BROTHER
S。(ちなみに、山本太郎もこのコーナー出身)このアルバム
で、メジャー再デビューだとか。インディーからリリースされ
たアルバム「Next Level」からの先行シングル「B
umpin’ Freakin’」を、初めて聞いた時、あま
りの凄さに驚愕してしまったんですが。(ちなみに、初めて聞
いたのはライブ)それから、ニューアルバムが、いつリリース
されるのか?楽しみにしていたんですが。はっきり言って、「
Next Level」がリリースされた当時、男性でR&B
をやっている人って、ゴスペラーズぐらいだった様な?それが、
今や、男性R&B百花繚乱って感じですから。時の流れを感じ
てしまいます・・・。このアルバム、前作「Next Lev
el」と同様、T.KURA、michico夫妻が絡んでい
るらしいので、ある程度、期待はしていたんですが。最初、試
聴機で聞いた時の感想は、想像以上の出来でした。特にサウン
ドが、めちゃめちゃcool!!これは、全曲T.KURAが
トラックを作ったのかな?と思いきや、2/3は、L.L B
ROTHERSがトラックを作っているみたいで・・・。ダン
スだけじゃなく、こういう事も出来るとは・・・。歌は、他の
男性R&Bシンガーと比べて、けして上手いとは言えないけど。
他の男性R&Bシンガーにない部分は、ソウルフルな歌声と、
微妙にエロイ所。そして、兄弟ならではのハーモニー。あと、
何故か分からないけど、聞いていて、とても気持ち良い!!個
人的な趣向かもしれないけど、甘い感じで歌われるよりかは、
こういうソウルフルな歌声の方が好みです。鈴木雅之・椎名純
平・オリジナルラブが好きな人は、1回聞いてみて欲しいな!!